そして、有栖という苗字からわかるのは、この子もきっととんでもない金持ちの令嬢なんだろうと。

 6歳という歳で財閥、金持ちのパーティーに出されて、きっと大変なんだろうけど。高飛車で楽しんでんだろう。どうせ。

「こんな息苦しいところ、嫌だよねぇ、ママだってパパだって、私にたっぷり愛情注いでくれているけど、できるなら普通の家でママとパパと暮らしたかった」

「……」

 僕と、おんなじ……。

 その少女、胡桃ちゃんはとっても悲しそうに切なく笑みを浮かべていて、感情すらあまりなかった僕の中にいま共感という気持ちと、おんなじ気持ちの子がいて、嬉しいと思う気持ち、感情が芽生えた。

「ぼ、くも……」

「?」

「僕も、胡桃ちゃんとおんなじ……」

「!本当!?じゃあ、お友達なろう?」

「なる!」

 ギュッと抱きつかれた。

 抱きつかれて、胸がぎゅーってなって、また知らない気持ちになった。

「じゃあ、私、ななちゃんって呼ぶ!」

「じゃあ僕はくるちゃんって呼ぶね」

「うん!今度遊ぼ?」

「うん!」

「胡桃〜!」

「七瀬〜!!」

「あ、じゃあね、王子様」

「ば、ばいばい」

 王子様って言われた……。