「っぅ……」

「おいお前、邪魔なんだけど」

 だ、誰かにぶつかっちゃったっ……。

「あっ……ご、ごめんなさい……」

 慌てて謝罪をする。

 けれど、怖くてぶつかってしまった人の顔が見れない。

「え、ヤバ、泣いてる可愛い」

 涙が溢れてしまったようだ。

「え……?」

 ヤダ、絶対絡まれる……!

「くるちゃん。だめだよ」

 ギュッと、抱き寄せられて。

「俺のお姫様なんだからさ?俺から離れちゃだめなの。まったく。僕のお姫様はおバカだなぁ」

「は、離してこのななちゃんもどき!」

 な、なにこの人!!ななちゃんになりきろうだなんて!!

「まったく。いけませんねお姫様。王子様に逆らうなんて」

「王子様じゃない!犬でしょ!!」

 でも、そんな言葉を言い返してしまった。

「ふふっ、やっぱりお姫様はツンデレなようで」

 え……本当に、ななちゃん……?