たまにこっちを見てはにこっと微笑み、私の鼓動はスピードを増す。

 気を紛らわすために、テレビをつければ案の定またななちゃんが出てる。

 キラキラしてて、王子様みたい。

 でも……その王子様は、実際。

「疲れたー」

「膝枕すな!もぉ、早く朝ごはん!」

 こんなにも無気力だ。

 それにさりげなく膝に寝っ転がってる。

「全くツンデレだなぁ」

 恥ずかしいだけだし……。

「恥ずかしいもんっ……」

「あれ?デレデレ?」

「ち、ちがうっ……!」

 あんまり強がりすぎたら、嫌われちゃう……。

クゥゥゥ

「なに?この可愛い音」

「お、お腹が鳴っちゃったっ……」

 は、恥ずかしいっ……。

「え……やば、こんなに可愛い音するお腹見てみた〜い」

 バッと私の服、いや正確にはななちゃんの服をいま着ていて、そのぶかぶかな服を上げて、お腹にチュッとキスをしたななちゃん。

「んっ……!やぁ……!」

ガチャン!!!

「胡桃様!?大丈夫ですか!!」

 数名の執事が部屋の中に入ってきて、大声をあげる。

「チェ」

「七瀬様、忠告をいたしましたよね、結婚するまでに胡桃様に手を出した時は婚約破棄と」

「別に手出してねーし」

「危ないです、やめてください」

「くるちゃんはドキドキしてたもんねー」

 そう言って、私を抱き寄せて。ななちゃんの得意なことは、私をドキドキさせることと甘やかすことだろう。