「まぁまぁ胡桃様、頭を下げんで」

「……」

「それで……胡桃様と、七瀬くんの婚約を破棄していただきたい」

「………は?」

「どういうことですか?」

 ……ななちゃんから協力な怒りを感じる……。

「我が息子、広斗と婚約をしていただしたいのです」

「……すみませんがそれは——」

「ちょっと待ってください、なぜあなたが有栖家と天海家の間に入ってくるのです?それに、俺たちが婚約したのは12歳の時です。長年の婚約を得て僕たちはもうすぐ結婚できるというのに、それは好き勝手がすぎます」

 ななちゃん……。

 そういえば婚約してから4年も経ってた……。

「……ひろちゃんと話してもいいですか?」

「ええ。よくわかりましたねいるということを」

「あははは」

 ガチャンと思いドアが開き、入ってきたひろちゃん。

「ちょ、くるちゃん……ひろちゃんって……」

「胡桃、久しぶり〜」

「久しぶり、ひろちゃん」

 ひろちゃんとは……小さい頃からの幼なじみだ。

 それも、ななちゃんとも前からの、付き合い……。

「……父さん、ちょっと抜けてもらえますか?」

「わかった」

 桜小路様は部屋を出ていき、いまはひろちゃんとななちゃんと私の3人と執事だけが部屋にいる。

「……胡桃、大きくなったね」

「ひろちゃんこそ!本当に久しぶりだね。フランスではどう?」

「まぁまぁやってるよ。でも一息ついたからしばらくはまた日本にいれる」

「そっかぁ!」

 ひろちゃんはひろちゃんのお父さんとともに海外で仕事をしている。

「……くるちゃん、本当にどういう関係」

「あっ……幼なじみだよ」

「どーも。キミよりも前からの付き合いの桜小路広斗です」

「……天海七瀬です」

ちゃんと挨拶するんだね……。

可愛いなっ……。
 
「………それで、キミたちの婚約破棄についてだけど」

「それはできないよひろちゃん」

「もう決まったことだから」

「え?……」

 もう、決まったこと……?

 なにを、言ってるの?

「キミのお父さんにも印を貰ってる」

「嘘でしょ!?」
契約書のような紙に、たしかにお父さんの印が押してあった。

「……おかしい。なにしたの?」

「なにもしてない。ただ話をした」

「なんの話?」

「……天海のこと」

「は?」

 ななちゃんの顔が引き攣ってる……。

 よっぽど怒ってるんだな……。

 ちょっと怖い……。