私はそう言いながら満面の笑みを見せた。

「……それは、妬いちゃうから?」

「うん!妬いちゃうから!」

「ふふっ、可愛いなぁ。妬いちゃうんだ」

 最近、私の愛がどんどん重くなっててる気がする。

 そのぐらいに、ななちゃんに溺れて行っちゃってるんだなぁ……。

「う、うるさいよ!!ななちゃんのおバカ。バカバカ!」

「あーはいはい、僕はバカですよ」

「な、なにそれっ……」

僕って……可愛いっ……。
 
ううっ……ななちゃんが自分のこと、『俺』じゃなくて、『僕』って言ってるところ、とっても可愛くて仕方がない。

「ん?」

「可愛いっ……ななちゃんは、どこまで可愛ければ気が済むの?」

小さい頃からの、気まぐれに甘えるような猫みたいな甘え方や、まるで飼い主に甘えるかのような犬のような甘え方、ななちゃんはずっと、ずーっと愛らしい。

「どこまで可愛くても、くるちゃんの可愛さが済まないから、ずっと可愛くなる」

「そんなの、私死んじゃうよ」

「ふふっ、その時は俺も一緒に死にますよ」

「えへへへへ、面白いなあ」

 私も、ななちゃんが死んじゃったら死んじゃうと思うな。

「……あ、そうだくるちゃん、恋愛映画みる?みたいって言ってたヤツ」

「あ、う、うん。ちょうど1時間半くらいだよね?」

「たしかそうだったよ!」

「じゃあ、観る」

さっき、執事さんに聞かれた時に観るって言えなくて申し訳なかったけど……。


……そして、執事との距離がなんだかおかしかったけれど、恋愛映画を観ていると、あっという間に有栖財閥の屋敷に着いた。

我ながら無駄に大きなお屋敷だ。

「わぁ……さすが天海財閥より権力が高いわけだ。」

「あははは……そんなことないよ」

「胡桃様、七瀬様、こちらになります」

メイドさんの案内に従い屋敷に入っていく。

客室に案内され、ふかふかのソファにななちゃんと腰をかける。

「……なにがあるんだろうね」

「もしかして、婚約破棄だったりして〜!」

「あはは、くるちゃん、変なこと言わないでよぉ〜」

「えへへへー冗談だよー」

まったく、ななちゃんは嘘に弱いなぁ〜。

ガチャンッ。

「ゴホンッ。こんにちは。」

「「っ」」

「ごきげんよ、桜小路様、本日はどのような御用件で」

入ってきた人物に慌てて頭を下げた私たち。

この人は、桜小路国広。

桜小路家現当主だ。

有栖には及ばない権力だが最近はドンドン有名になっていってる。