ガチャン!

「っ!?」

「ごめんごめん!お熱もう一回測ろう?」

「う、うん」

 び、びっくり、した……。

 僕、本当に熱出たんだ……。

 熱がなると、性格が幼くなり、頭の中がくるちゃんで埋まり治りかけの頃にはとっても臆病になるという禁断症状を持っている。

 体調管理には気をつけていたはずだが、やはり精神的な面でやられていたのだろう。

「……ななちゃん、いつもお疲れ様」

 なぜか急にそう言ったくるちゃんは僕の首に手を回し、ぎゅっと抱きしめ額にキスを落とした。

「っ……あひが、と……」

「ふふ、噛んでるよななちゃん。お熱の時のななちゃんはいつもの倍可愛くなるからねぇ〜」

 そう言ったくるちゃんは少しバカにするように頭をワシャワシャ撫でてくれる。

「……李津と、なに話してるの……?」

「うーん……ちっちゃい頃の話かなぁ」

「……僕がいない時の話なの……?」

 僕はちっちゃい頃からくるちゃんにずっとくっついてたけど、李津となにがあるか把握できてないことだってたくさんある。

「う、うーん……そうだねぇ……」

「……僕以外の男と、僕の知らないこと、話さないでぇ……?」

 そう言ってくるちゃんを抱きしめ返し首筋に顔を埋める。

「……じゃあ、ななちゃんのことでもお話ししてようかなぁ」

「やぁだ!僕も、いないと……だめなの」

 そう言って抱きしめる腕に力を込める。