「んーう〜僕いつも甘えん坊しゃんだもん〜えへへっ……」

 うう、だめ、可愛いよぉ……。

 そう可愛い声を出しながら、ソファに埋もれる私に絡むように抱きついてきて、犬のように甘える。

「ななちゃん、体温測ろう?」

「んぅ、やぁだの〜くるちゃん離れちゃめぇめ」

「ちょ、ちょっと一回離して?」

「やだ!」

 口調は子供っぱくなっても、力はやはりいつものななちゃんで。

 全く、抵抗ができない……。

「……執事さーん!!」

ガチャン!!

「どうされましたか?胡桃様」

「体温計を、取ってもらえる?」

「了解いたしました。どうぞこちらです」

 執事さんはそう言って私の手にソッと体温計を乗せた。

「ありがとう。」

 そういう時執事さんはぺこりとお辞儀をして部屋を出ていった。

「ななちゃん、お熱測るよ」

「くるちゃん測ってくれるの?」

「うん!」

「じゃあいいよ」

「?え、な、なんでちょ、ななちゃん!」

 ななちゃんは汗をかいているせいか余計色気を放って、シャツを脱いだ。

「はーい測って」

「うう、そこまでしなくていいのに」

 ななちゃん大きくなったなぁなんて思いながら熱を測る。

ピピピピッ

「……38.7……ななちゃんやっぱりお熱だよ!!」

 ななちゃんがここまでデレデレ赤ちゃんになる時は、高熱がある時。

「ななちゃんもうお洋服着ていいよ?」

「暑い……」

「でも、ひどくなっちゃうから着て」

「ん、わかったぁ……」

 ななちゃんはゆっくりとお洋服を着る。

「……お風呂入りたぁい……くるちゃん一緒に入ろ?」

「だめだよ。ななちゃんお熱だし」

「やぁだ、くるちゃんと一緒にお風呂はいる……」

 いつもは『くるちゃんが可愛すぎて食べちゃうから入らない』って言うくせに。

「はいはい、だぁめ、安静にしてなさい!」

 それからどうにかななちゃんをななちゃんの部屋まで連れて行って、ベッドに寝転がせる。

「えへへへっ……くるちゃんの写真いっぱいだぁ〜」

「も、もぉ、変なことしないでよ」

 ななちゃんの部屋に自分の写真いっぱいとか、き、気まずいんですけどっ!!

 そんなことを心の中で思いながら、ななちゃんの部屋を出た。