「ななちゃんっ……!!」

 なんでここがバレたのだろう?

「おい胡桃を返せ」

「……」

 本当は離したくない、この子の笑顔一つで俺は恋に落ちたのだから、ずっとこの子を俺だけのものに。

 でも、身分的に仕方がない、ここで大騒ぎになられては困るし。

 おとなしく胡桃さんを渡す。

「くるちゃん怖かったねぇ、大丈夫?泣いちゃった?よしよし」

「ううっ……っぅっ……ひっく……」

 ああ、離れていく、俺のにしたいのに……俺のだけのものにしたいのに。