改めて、さっきの自分を褒めたくなった。

「ああっ……いーですね、その困ってる顔……わかってるけど、だめだけど、めちゃくちゃにしたいです……」

「え、えっ……?」

 急に表情も雰囲気もガラッと変わった鳳凰さん。

「あー……可愛い……あなたに触れられて、幸せだ……」

「えっ?……」

 そう言って私の髪の毛をスルッと触った鳳凰さんに、思わず怯え出す。

 こ、怖い……。

 いつもは守ってくれる鳳凰さんなのに、いまは警戒心しかない。

「いやっ……こ、こないで……!!」

「ふふっ、怯えてる顔も可愛いですね……」

 ななちゃん助けて……!

「ななちゃん助けて……!!」

「無駄ですよ、七瀬はいまファンたちに囲まれて動けないんですから」

「いやぁっ……!誰か……!!」

 助けて……!!

「大人しくしててください」

 口元をすごい力で押さえつけられて、私は息が出来ずに気絶してしまった。