【side 理人】

 ……ありえない。俺の大事な可愛い妹が……こんなヤツと……。

 昔は、弱虫そうで、でも胡桃のことを一途に思っていた。だから、婚約者になってもいいとは思っていたが……まさか、こんなヤツになるとは……。

「いお、七瀬を殺すのが一番いいよね?」

「さすがかお。同感」

「……お腹空いた……」

「え?な、ななちゃん?」

「くるちゃんもお腹、空いたでしょ?」

「う、うん……」

 そう言って胡桃の腹あたりに抱きついた七瀬。

 アイツ……。

「ななちゃん、一回ベッドから出よう?ねぇねぇななちゃ——」

「はぁ……っ……」

「え……?く、苦しいの!?お熱……!?」

 え?

 熱……?

「なゆかぁ……くるちゃ……おいしゅちょ……」

「え、ええっ……!?」

「食べよう……」

 さりげなく胡桃の服の腹あたりに手を突っ込んだ七瀬は、服をあげて胡桃の腹に噛みついた。

「ぴゃっ……!?や、やめてななちゃん……!い、痛いっ……!」

 胡桃の綺麗な白い雪のような肌に七瀬の噛み跡がついた。

 胡桃は涙目で、とっても痛そう。

 そこに飛びかかるように伊織と香織が行って、七瀬を殴り倒した。

「胡桃大丈夫!?」