1回だけと言われて承諾する時点でもうおかしいけど、更にもう一回まで受け入れようとする自分が心底どうかしてる。


バクバクの心臓を深呼吸で落ち着かせて、気持ちを切り替えた。



「資料、早く終わらせないとだね……!」

「ああ、うん……そうだな」


空き教室に気まずい空気が流れる。

うわああ、またキスしまったよ!!


気持ちよかったな、じゃなくて今度こそ学校行けない!!


内心荒ぶりながら素早く作業する私を、篠宮くんが同じく作業をしながらも相変わらずじっと見つめていた事には気づかないまま。


全部の作業が終わったら、篠宮くんが「俺が資料を持って行っておくよ」の声を掛けてくれた。


「あっ、ありがとう!よろしくね!」


私は恥ずかしさのあまり、逃げるように学校を飛び出す。

無事綾羽と合流して、お目当てのクレープを買ってもずっと上の空で手を付けられなかったのは、言うまでもない。