「棗」



翌朝、学校に行く前に

パパに呼び出された。



「おはよう」


白髪まじりの黒髪を

たいていオールバックにしていて

家では決まって和服姿の、パパ。



「新しい環境で苦労も多いだろう。困ったことがあれば言いなさい」

「大丈夫。すっごく楽しいよ」



バレてない、よね?

一斗のこと。



「恋をしているんだな」

「…………」



え!?



「それも。禁断の愛か」

「どうしてそれを……あっ」



自白してしまった。



(みつる)くんも棗の学校へ編入したと聞いたが。彼とは上手くいっていないのか」

「その話なら白紙にしてって頼んだよね」

「彼は悪い子ではないだろう」

「……いい人だから結婚するの?」