「お嬢」 「坂田のバカ。なんで一斗に恋しちゃいけないとか言うの?」 坂田があんなこと言わなきゃ。 今頃、わたしたちは――…… 「彼の家庭を崩壊させたくはないでしょう?」 …………え? 「それとも。お嬢がうちを捨てますか」 「なに言ってるの? わたしは一斗の家族を傷つけるつもりも、家を出るつもりも――」 「警察です」 「……け……い、さつ?」 「はい。洲崎一斗の父親と兄は警察官――祖父においてはキャリアと呼ばれる幹部」 ――――! 「お嬢と彼は、けっして結ばれない運命なのです」