前世でよく見知った間柄とはいえ、今世では会話をしたことすらない。とっさに言い訳を考え、絃乃は冷や汗をかきながら澄ました口調で答える。
「百合子と同じ女学校に通っておりますの。以前、お二人が話している場面を拝見したものですから……」
「ああ、あのときですか。それは恥ずかしいところを見られてしまったな」
記憶を思い出しているのか、雪之丞は顎に手を当てる。目が合うと、茶目っ気に笑ってみせた。
彼本来の性格を目の当たりにし、絃乃もこわばっていた体から無駄な力みが抜けた。
「……あの。部外者の私が言うのもなんですが、百合子のことは本当に諦めたのですか?」
雪之丞は少し目を見開き、そうですね、と視線を落とす。
「正直、まだ慕っている気持ちはあります。ですが、彼女が決めたことですので、私はそれを応援するつもりでいますよ。それにあの男なら、彼女を任せられます」
「……それを聞いて安心しましたわ」
「もちろん、彼女を泣かせるようなことがあれば、黙ってはいませんが」
悪戯っぽく片目をつぶり、絃乃はくすくすと笑いをこぼす。
「きっと、心配なさるようなことはないと思いますわ。でも、そこまで思いを寄せられて、百合子が少しうらやましく感じました」
素直な気持ちを吐露すると、雪之丞は困ったように笑う。その笑みはゲームでは見なかったもので、どこか恥じらいが感じられた。
「こう見えて一途なんですよ」
「それはそれは、これからの恋の相手が大変そうですね」
「どうでしょう。まあ、相手次第かもしれませんね」
恋に破れた雪之丞はすがすがしい顔をしていて、どこか吹っ切れたようにも見える。まぶしいほどの晴天を背景にした美男子は笑みを深めた。
「百合子と同じ女学校に通っておりますの。以前、お二人が話している場面を拝見したものですから……」
「ああ、あのときですか。それは恥ずかしいところを見られてしまったな」
記憶を思い出しているのか、雪之丞は顎に手を当てる。目が合うと、茶目っ気に笑ってみせた。
彼本来の性格を目の当たりにし、絃乃もこわばっていた体から無駄な力みが抜けた。
「……あの。部外者の私が言うのもなんですが、百合子のことは本当に諦めたのですか?」
雪之丞は少し目を見開き、そうですね、と視線を落とす。
「正直、まだ慕っている気持ちはあります。ですが、彼女が決めたことですので、私はそれを応援するつもりでいますよ。それにあの男なら、彼女を任せられます」
「……それを聞いて安心しましたわ」
「もちろん、彼女を泣かせるようなことがあれば、黙ってはいませんが」
悪戯っぽく片目をつぶり、絃乃はくすくすと笑いをこぼす。
「きっと、心配なさるようなことはないと思いますわ。でも、そこまで思いを寄せられて、百合子が少しうらやましく感じました」
素直な気持ちを吐露すると、雪之丞は困ったように笑う。その笑みはゲームでは見なかったもので、どこか恥じらいが感じられた。
「こう見えて一途なんですよ」
「それはそれは、これからの恋の相手が大変そうですね」
「どうでしょう。まあ、相手次第かもしれませんね」
恋に破れた雪之丞はすがすがしい顔をしていて、どこか吹っ切れたようにも見える。まぶしいほどの晴天を背景にした美男子は笑みを深めた。



