手紙で仲を深めよう作戦は、詠介がアドバイスするということで話がまとった。
女学校では百合子はいつもどおりで、どうなったかはわからなかったが、思い悩んではいないようなので、悪い結果にはなっていないのだろう。
用事があって商店街を歩いていた絃乃は、ふと足を止めた。女物の小物を扱う店の前で、軍服姿の男が一人立ち止まっていたからだ。
気になって近づくと、見覚えのあるシルエットにもしや、と声をかける。
「……あの。藤永様ですよね? 贈り物ですか?」
振り返ったのは涼しげな瞳。短く刈り揃えた髪に、皺一つないオーダーメイドの軍服を着込んだ八尋だった。
店先には、数種類のかんざしが陳列している。
八尋は突然呼びかけられ、驚いたような表情で見つめてくる。
「あなたは……」
「百合子の級友です。白椿絃乃と申します」
「ああ、絃乃さんですか。百合子さんと親しくされている方ですね。女学校の話でよくお名前を聞きますよ」
品のいい笑みを浮かべていた八尋だったが、次の瞬間には顔をうつむけてしまう。
「どうしました?」
「ああいえ……その。ご友人に、こんなことを相談してもよいものか……」
「何か悩みがあるんですね? 解決できる保証はありませんけれど、よかったら話してみていただけませんか?」
その言葉で吹っ切れたのか、八尋は顔を上げた。
「実は……百合子さんから手紙をいただいたんです」
「まあ。よかったですね」
詠介の助言により、百合子も素直な気持ちを手紙でしたためたのだろう。
これで心の距離が縮まれば、無事にイベントも完遂できるだろう。期待を寄せて顔色を窺うと、なぜか彼の表情はこわばっていた。
「……素直な文章が綴られていて、きれいな文字でしたためられていて……手紙をいただけるとは思っていなかったので、嬉しかったです」
「返事はなさいましたの?」
「…………」
「藤永様?」
女学校では百合子はいつもどおりで、どうなったかはわからなかったが、思い悩んではいないようなので、悪い結果にはなっていないのだろう。
用事があって商店街を歩いていた絃乃は、ふと足を止めた。女物の小物を扱う店の前で、軍服姿の男が一人立ち止まっていたからだ。
気になって近づくと、見覚えのあるシルエットにもしや、と声をかける。
「……あの。藤永様ですよね? 贈り物ですか?」
振り返ったのは涼しげな瞳。短く刈り揃えた髪に、皺一つないオーダーメイドの軍服を着込んだ八尋だった。
店先には、数種類のかんざしが陳列している。
八尋は突然呼びかけられ、驚いたような表情で見つめてくる。
「あなたは……」
「百合子の級友です。白椿絃乃と申します」
「ああ、絃乃さんですか。百合子さんと親しくされている方ですね。女学校の話でよくお名前を聞きますよ」
品のいい笑みを浮かべていた八尋だったが、次の瞬間には顔をうつむけてしまう。
「どうしました?」
「ああいえ……その。ご友人に、こんなことを相談してもよいものか……」
「何か悩みがあるんですね? 解決できる保証はありませんけれど、よかったら話してみていただけませんか?」
その言葉で吹っ切れたのか、八尋は顔を上げた。
「実は……百合子さんから手紙をいただいたんです」
「まあ。よかったですね」
詠介の助言により、百合子も素直な気持ちを手紙でしたためたのだろう。
これで心の距離が縮まれば、無事にイベントも完遂できるだろう。期待を寄せて顔色を窺うと、なぜか彼の表情はこわばっていた。
「……素直な文章が綴られていて、きれいな文字でしたためられていて……手紙をいただけるとは思っていなかったので、嬉しかったです」
「返事はなさいましたの?」
「…………」
「藤永様?」



