私もあのカップルと同じ様に楽しく過ごすはずだったのに、と見知らぬカップルを思わず睨んでしまう。
 そんな私に気付いたのか、彼女が彼氏に耳打ちすると嫌な笑いをしながら私から離れて行った。おそらく私を馬鹿にする様なことを喋っていたのだろう。
 ますます嫌な気分になった私は、待ち合わせなんて無視して1人で散策することにした。
 ゆっくりと歩きながら見る桜は同じ種類の花が等間隔に並んでいる。あまりにも同じ光景が続くので、まるで桜の木をコピーして植えたような錯覚をする。