……こんなに自分のことを理解してくれる恋人がいてくれて、私は世界一幸せだ。

そんなことを思っていると、鍵がガッチリかかっているはずのドアがきぃぃという音を立てながら開いた。

「——久しぶりだね、玲」

「……なんでお前がここにいる?」

開いたドアから出てきた人は、とってもカッコいい吸血鬼さんだった。

そして玲くんの声のトーンが、ものすごく低くなった。

玲くんが心の底からこの人のことを嫌悪、憎悪していることがすぐにわかった。

「ちょっと色々とあってね。あ!キミが咲坂ひゆちゃん?」

「……?は、はい……、そうですけど……」

玲くんはドンドン怒りをかっているのか、目の色や髪色が変わっている。

「そんなに威嚇しないでよ玲」

喋り方からして、昔は仲がよかったのだろうか。

「……なにしにきた?」

玲くんは私をすごい抱きしめる。

ぷるぷると震えも玲くんから伝わってきて、玲くんのことが心配になってきてしまった。

「ひゆちゃんをもらいにきた」

「……お前、ぶっ殺す」

「れ、玲くん……!?」

玲くんは明らかに本気の声色でそう言った。

「あ、あのっ……か、帰ってください!!」

私は勇気を振り絞ってそう言う。

この人がいい人だろうが悪い人だろうが、玲くんが苦しむのならここにいてはならない理由に等しくなる。