川中島の戦い、詳しくはないが聞いたことはある。

「一人で武田軍に突っ込んでいった上杉謙信はさすがにすごいと思うわ」

「そうですよね!!」

そういえば数万の兵の中に1人でかけて行ったなんて伝説みたいなの聞いたことあるな。

今度もっと調べて、ひゆとこの話をいっぱいしよう。

「頭もよくてっ……なんだか、玲くんみたいなんですよね」

「……?どこら辺が」

え、僕似てるの……?

ひゆの推しに似ていて喜んでいいのかわからずに焦る。

「……謙信様も玲くんもとっても優しいし強いし、正義のヒーローって感じがして、ふたりとも大好きなんですっ……!!」

「っ……」

「……まぁ……そうなの」

嬉しくてつい口元を手で覆う。

でも、ひゆ、ごめんね。

僕は正義のヒーローっていうより、

悪魔のヒーローって感じなんだ……。

あれ、でもひゆのために悪いヤツらを殺れば、“ひゆの”正義のヒーローになれるかもしれないな。

「……それで、玲くんとずっと一緒にいたいんですっ……」

「……じゃあ、一つ条件があるわ」

「な、なんでしょうか!」

お婆様の言葉に僕もひゆも息を呑む。

「……これから、私と会った時は歴史の話をしなさい。以上よ」

「「え……?」」

「は、はい!!」

びっくりして僕もひゆも変な声が出たが、次にひゆが元気よく返事をして、ひゆとお婆様は打ち解けることができたらしい。



——こうして無事部屋に再びひゆを監禁することができた。