……いまひゆは、喋れないし聞こえない。

「……どういうことなのよ、玲」

「……蒼葉ですよ。人狼、吸血鬼は、種族の血の濃さにより人間のことを操ることができます」

本当に、ごく稀にだけれど。

「……それで、多分蒼葉は人狼であり、その力を宿していたのでしょう。そして、『自分の血への依存』という念でもかけたんじゃないですか。ひゆに。」

「ちょっと待って、全く頭に入ってこないんだけど」

まぁそうだよな。

「……僕たち吸血鬼は、血を吸うために、人を噛んだら、自然と自分の血液がその人に流れるようになってるんです」

「な、なにそれ、初耳……」

「妖狐が婚約者ですししょーがないですよ」

こんなこと知ってる人なんて吸血鬼でもあまりいない。

「その血液は、人間にとっては健康の元、少量の血で多少の病気も治せるぐらい強力なものです。でも、僕たち吸血鬼が血をくれる人間に依存してく同様、その人間も依存します。人狼とは多少は違いますがほぼ同じなので、その依存する力を高めようとしたんですよ、蒼葉は」

「……つまり蒼葉はひゆのことが好きだったの?」

「多分、血への執着も大きかったでしょうけど」

ギリギリのところで僕がきて、その上蒼葉を出血させたから、ひゆの血は体内から出たはずだったがやはり少量残ってしまったのだろう。

「……じゃあ、ひゆはどうして蒼葉じゃなくて、玲を求めるの?」

「そのことについては詳しくはわかりませんが……蒼葉に依存するようにされたことも、打ち消すぐらいもうすでに僕に依存してたということがない限りは……」

依存させる力は、よほど別の人に依存していれば全くとして無効になる。