「みんなこうなの。ほぉら、言うこと聞けるよね?」

すると、全身の力が一気に抜けて、崩れるように倒れるところを玲くんが支えてくれた。

「力がっ……入らない……」

「ふふっ、いまのうちに、ひゆごと喰べちゃいたい……」

「やめてぇっ……」

「冗談だよ、ほんのちょっとだけ」

ほ、ほんのちょっとだけなんだね……。

「じゃあ、吸血鬼の世界に行こうー!逆らえないからね……❤︎」

「ええっ……」

そ、そんな……。
 
そ、そういえば、いま考えることじゃないけど、吸血鬼は日光に弱いとか、身体能力が高いとか、顔面偏差値も高いとか、唾液で傷をなおせるとか、聞いたことがあるけれど、「日光に弱い」はちがうらしい。

そして、なぜか窓を開けた玲くんは……。

私をお姫様抱っこしたまま、窓から飛び降りて。

ふわっという感覚に包まれて、幽体離脱をしたような感覚でもあった。

「きゃぁぁぁっー……!!」