「あ…。」


顔を洗ってリビングに行くと
ソファに横になっているひまりを
見つけた。


寝てるのかな…


近づくとひまりは目をつぶっていた。


「ひまりちゃん…?」


ギシ…

少し離れた位置に座ってみるけど
反応がない。


薄いグレーの部屋着が
少し無防備な気がして、なんとなくソワソワしてしまった。


「…。」


思わずその指に手を伸ばすと
指先がトンとかすかに触れた。


折れてしまいそうな細くて白い指。
だけどなんだか柔らかい。


もっと触れてみたくて、そのまま指を握ってしまった。


(俺は何をしてるんだ…。)


我に帰ると、後ろめたい気持ちでいっぱいになった。


中身はどうあれ、見た目は杏奈なんだぞ。

友達だと信じている相手が
自分をいかがわしい目で見ていると思ったらどう思うか。


急に罪悪感が込み上げてきて、急いでリビングを後にした。