「ふふっ、じゃあ、たくさん楽しみましょうね、お姫様」

「っ……!お、お願い、しますっ……!」
     
 まだお部屋だっていうのに、もうこんなにドキドキしちゃってるよぉっ……!

 そんな調子で、車に乗り込む。

 いつも同様、執事さんに車を出してもらう。

「よろしくお願いします!」

「はい」

「……まだ、何十分もかかるから、寝てもいいよ」

 車が発車してからしばらく、夜毎がそう言ってくれたので私はお言葉に甘えて寝させていただくことにした。



 目が覚めると、そこはもう遊園地の駐車場だった。

「んむっ……もうついたんだね……」

「ふふっ、うん。奈結の寝顔、思わず写真取っちゃった」

「ふぇ?も、もぉっ……!」

 ね、寝起きで力が入らないっ……。

「じゃあ、ジェットコースターでも行く?眠気ざましに」

「ううっ、私、高所恐怖症っ……!」

「ふふっ、知ってるよ。でも、乗りたいんでしょ」

「よ、よくわかったねっ……」

 さすが、13年間もの付き合いっ……。

 そんなことを思いながらも、2人だけの初めてのデートが始まる。

——夜毎、これから、なにがあろうと、2人で、乗り越えていこうねっ……。いつか、キミのお嫁さんになれるまで……なっても、甘いキミに、一生愛されたい。

 そして、私は夜毎とキスを交わした。

end