「クッキー、朝持ってきちゃった〜」

「ふふっ、おいしいもんね。夜毎が作ったヤツ」

「奈結が作ったヤツの方がおいしいよ」

「ふふっ、ありが——はむっ……！！」

　夜毎は袋に入ってたクッキーを取り出して、私の口に押し込んできた。

「んむっ……はむっ……」

「早く飲み込まないと、口の中いっぱいになっちゃうよ。っていうか、口ちっちゃいからもういっぱいだね」

「んむっ……んぐっ……もー！やめて！」

「はいはい〜」

　そう言った夜毎に一瞬安心したけれど、そんな時間は本当に一瞬だった。

「んっ……！」

　その一瞬が過ぎれば、強引にに唇を奪われてしまった。

「ふふっ、ちょっとクッキーの味がするね」

「そ、そりゃあ、クッキー食べたからねっ……」

　あ、当たり前っ……。

「でも奈結ちゃんの方が甘いよね〜」

「な、なに言ってっ……！！き、昨日はあんなにネガティブっぽくなってたのにっ……！」

「……甘々にして、俺にもっと溺れてもらわないと……離れたら、嫌だからね」

　……今度はそんな顔して、切なく笑って、本当に久遠夜毎っていう人間は、ずるい。

「……そんなの、私も……だから！あーもう恥ずかしいからぁっ……！！」