「……ケホッ……」

 奈結……。

 ……そもそも、奈結と巡り会ってなんてなければっ……。

 ……そんなこと、考えられないけれど……。

 ……なんか、咳とか熱とか全部失せた気がする。

 はぁ……こんなんで治るとか、最悪すぎるだろ……。

「わんっ」

「……?ミルク……?お前、いたのかよ……」

 ベッドの下からノコノコと出てきたミルク。

 しゃがみこんでミルクの頭を撫でれば、珍しく懐いてくれた。

 ……ひょっとして、励ましてくれてたりしてなっ……んな訳ないだろうけど……。

「ミルク……俺、どうしよう」

 話し相手もなく、ミルクにそんなことを聞いてしまう。

「わんっ!」

 すると、ドアの方を向いて吠えたミルク。

 まるで、奈結に謝ってこいって言われたみたいだ……。

「謝れってか……?んな訳ねぇけど」

「わんっ!」

 ほ、本当に言ってたりして……?

 はぁ……熱で頭までおかしくなっちまってたのか……。

「……はぁ……」

 ……奈結は、もうすぐ俺をフルだろうか?

 ……そしたら、俺はどうなる?

 というか、元々アイツ(凛音)と付き合ってたのか……?