占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「大丈夫か、アドルフ」

相変わらずやることが見つけられず、部屋で休んでいると、ルーカスの大きな声が響いてきた。なにごとかと廊下に出ると、同じようにドリーもドアを開けていて、2人で顔を見合わせた。

「ルーカス、どうかしたの?」

外から声をかけると、彼も余裕がないのか〝入って〟と促してきた。

「どうかし……アドルフ!?」

ルーカスの部屋には、鳥の姿のままぐったりと横たわるアドルフがいた。

「大丈夫?なにがあったの?」

アドルフは目を閉じたままで、息はしているようだけど反応はない。

「窓から入ってきた。なんとかここまで来たって感じだが……」

なにかを運んできた様子ではないことからすると、口頭での伝達があるだのだろうか?
ドリーから渡されたタオルで、そっと拭いてやる。ルーカスは私がそうすることに内心不満そうだったけれど、グッと堪えているのが伝わってくる。



部屋を温かくして様子を見ていると、アドルフの目元がピクリと動いた。

「アドルフ!!」

「……ル、ルーカス、様……」

「大丈夫か?」

「ええ」

口調は弱々しかったものの、受け答えをするアドルフに、とりあえず大丈夫そうだと肩の力をぬいた。そこまで見届けたドリーは、自室にもどっていった。けれど、どうしても気になった私は、ルーカスが何も言わないことに甘えて、その場に留まっていた。