「俺は、ライラに出会って、多くの時間を一緒に過ごして、その全てに惹かれている。それを獣人仕様で言えば、匂いに惹かれているということだ」
「ルーカス……」
ちらりと覗き見たルーカスの瞳に、隠しきれない熱が燻っているのを認めた途端、誤魔化せないと思った。
「グリージアの貴族で……認めたくないが、王太子の婚約者に選ばれるぐらいの女性が、その全てを潔く捨てて、こんな森の奥にやってきた」
最初に捨てられたのは、私の方なんだけど……
「働くなんてしたことがないだろうに、美しい髪を迷いもなく短くして、自ら進んで仕事をこなす。誰にでも親切に対応するのは、俺としては妬けるが、ライラのよいところだ」
特別なことをしているつもりがなかった私としては、こんな手放しの賞賛は恥ずかしいばかり。ルーカスの私を見る視線には、絶対に〝番フィルター〟がかかってると思う。
「占いというかたちで、他人の悩みに寄り添って……俺としては許し難いが……占いを超えて、ついでに相手の相談にものってしまう優しさ。番でもないのに、グノーがなにかとライラに関わりたがるのも納得だし、未だにアルフレッドが付きまとうのも、許せないのに理解できてしまう。
つまり、ライラからしたら、匂いに惹かれてるだけだと思ってしまうかもしれないが、俺としてはライラの全てに惹かれてやまないんだ」
正面から堂々と、これほど熱い想いをぶつけられたら、ますます顔を上げられない。恥ずかしい。けれど、心の奥でそれを嬉しく思っていることも否定できない。
「……ありがとう。誰かにそんなふうに言ってもらえるなんて、幸せなことよね。素直に嬉しいって思う」
顔は上げられないけれど、今感じていることはちゃんと伝えたいと思った。
私の手を握るルーカスの手に、ぐっと力がこめられたのが伝わってくる。
「ルーカス……」
ちらりと覗き見たルーカスの瞳に、隠しきれない熱が燻っているのを認めた途端、誤魔化せないと思った。
「グリージアの貴族で……認めたくないが、王太子の婚約者に選ばれるぐらいの女性が、その全てを潔く捨てて、こんな森の奥にやってきた」
最初に捨てられたのは、私の方なんだけど……
「働くなんてしたことがないだろうに、美しい髪を迷いもなく短くして、自ら進んで仕事をこなす。誰にでも親切に対応するのは、俺としては妬けるが、ライラのよいところだ」
特別なことをしているつもりがなかった私としては、こんな手放しの賞賛は恥ずかしいばかり。ルーカスの私を見る視線には、絶対に〝番フィルター〟がかかってると思う。
「占いというかたちで、他人の悩みに寄り添って……俺としては許し難いが……占いを超えて、ついでに相手の相談にものってしまう優しさ。番でもないのに、グノーがなにかとライラに関わりたがるのも納得だし、未だにアルフレッドが付きまとうのも、許せないのに理解できてしまう。
つまり、ライラからしたら、匂いに惹かれてるだけだと思ってしまうかもしれないが、俺としてはライラの全てに惹かれてやまないんだ」
正面から堂々と、これほど熱い想いをぶつけられたら、ますます顔を上げられない。恥ずかしい。けれど、心の奥でそれを嬉しく思っていることも否定できない。
「……ありがとう。誰かにそんなふうに言ってもらえるなんて、幸せなことよね。素直に嬉しいって思う」
顔は上げられないけれど、今感じていることはちゃんと伝えたいと思った。
私の手を握るルーカスの手に、ぐっと力がこめられたのが伝わってくる。


