占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

ミランダは、〝魔力〟という自分の武器を失って、気弱になっているのかもしれない。
珍しくしおらしいミランダに、男性陣も神妙な顔をしている。

「私、将来いつか、素敵な人と一緒になれるかしら?」

日頃から、ルーカスやアルフレッドを揶揄いつつ、冗談半分で迫っていたミランダ。彼女からそういう質問が出たということは、やはり、2人のことはおもちゃでしかなかったということだ。

ミランダの真剣な様子に、当の2人は息を潜めるようにして耳を傾けている。

「つまり、ミランダ。あなたがこの先、伴侶を得ているかどうかを占えばいいのね?」

「……ええ。魔力も何もない私だけど……」

ミランダはずっと不安で、心細かったのかもしれない。この人は、決して異性に頼りきった生活をする人じゃないと思う。それは、ここでの働きぶりを見てきてわかっている。慣れない仕事を、ちゃんとこなしてきた人だもの。

けれど、ふとした時に、誰かに頼りたくなることもあるのだろう。

「わかったわ」

そう言いつつ、ちらりと男性2人に視線を向ける。

「いいの?」

「ええ、かまわないわ。もしかしたら、水晶が王子様のどちらかを映し出すかもしれないでしょ?」

ウィンクを投げられた2人は、なんとも言えない表情をして固まった。

「そう。あなたがいいのなら、私はかまわないわ。じゃあ、見てみるわね」

俺たちの意見は?という声なき訴えは、気が付かなかったことにしておく。
〝ミランダの伴侶〟と心のうちで念じながら、集中していく。霧に包まれていく水晶は、一体彼女のどんな未来を見せてくれるのだろうか。