占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「ライラ、ん」

私の雰囲気がどことなく違うと思ったのか、グノーが休憩に合わせて、彼特性のチョコレートケーキを出してくれた。

「あっ、おい、グノー!!」

それを目ざとく見つけたルーカスが絡んでくる。

「ん」

言葉数は少なく、大人しめなグノーだけど、そんなルーカスに動じることない。その上、この日のグノーはいつもと違った。

「な、なんだ?」

ルーカスにも同じように、チョコレートケーキの乗ったトレーを差し出したのだ。

「ん」

言葉が致命的に少なすぎるけど。

「お、俺の分、なのか?」

頷くグノーを、信じられないという顔で見つめるルーカス。きっとグノーの気遣いなのだろう。私一人で食べたって、寂しいだけだ。かといって、人嫌いな彼が、食堂で一緒に食べるのはハードルが高い。じゃあ、いつものように私に張り付いているルーカスに、一緒に食べてもらおうってことなのだろう。
グノーの〝ん〟だけで、ここまで読み取れるようになってしまった自分、すごいわ。

「私がケーキを食べるのに、付き合ってあげてってことよ。たぶん。ね、グノー」

「ん」

同じ〝ん〟でも、その音が違う。今のは肯定の〝ん〟だ。

「そ、そうか」