ここに来てからのミランダは、すっかり心を入れ替えて、慣れない仕事も愚痴一つこぼさないで頑張っている。一度は道を踏み外してしまったかもしれないけれど、こうしてやり直すチャンスは誰にだって与えられるべきだと思う。
かく言う私も、悪いことこそしていないけれど、同じようなものだ。他人に嵌められて〝王太子を裏切った〟と婚約破棄され、国に居場所を無くした。その後、水晶に導かれるままこの宿屋へやってきた。そして、ドリーによって占い師兼従業員という職を与えられた。
私がここで、ライラとして新しく人生をスタートさせたように、ミランダもまた、ここから再スタートしたのだ。
「もう魔女ではなくなった私は、ただの一人の女よ」
ミランダの言葉にどう応えていいのかわからず、軽く頷くに留めた。
「ドリーに雇ってもらえて、前とは全く違うけれど充実しているわ。おまけに、可愛らしい王子様達にも日を開けずにお目にかかれるしね」
意味深な流し目を向けられたルーカスとアルフレッドは、途端にビクリと体を揺らした。
「けれどね、ふと不安になるのよ。ずっとこのままでいいのかってね」
〝あなたもじゃない?〟と暗に尋ねてくるミランダ。私も、その気持ちはわからなくもない。
新しい人生をスタートさせて、私も今は充実している。けれど、ふと、一生ここでこの仕事をしていくのだろうかとか、なにか未来に対する漠然とした不安を感じることがある。
「まあ、ライラには占いっていう武器があるから、私とはまた違うかもしれないけれど……」
頷いていいのかどうか……
確かに、一つでも自信のあるものを持っていれば、心持ちは違うと思う。私はもしここを出たとしても、占いを仕事にして生きていけると思う。だから、一言で〝漠然とした不安〟といっても、ミランダの抱くそれとはまた違うのかもしれない。
かく言う私も、悪いことこそしていないけれど、同じようなものだ。他人に嵌められて〝王太子を裏切った〟と婚約破棄され、国に居場所を無くした。その後、水晶に導かれるままこの宿屋へやってきた。そして、ドリーによって占い師兼従業員という職を与えられた。
私がここで、ライラとして新しく人生をスタートさせたように、ミランダもまた、ここから再スタートしたのだ。
「もう魔女ではなくなった私は、ただの一人の女よ」
ミランダの言葉にどう応えていいのかわからず、軽く頷くに留めた。
「ドリーに雇ってもらえて、前とは全く違うけれど充実しているわ。おまけに、可愛らしい王子様達にも日を開けずにお目にかかれるしね」
意味深な流し目を向けられたルーカスとアルフレッドは、途端にビクリと体を揺らした。
「けれどね、ふと不安になるのよ。ずっとこのままでいいのかってね」
〝あなたもじゃない?〟と暗に尋ねてくるミランダ。私も、その気持ちはわからなくもない。
新しい人生をスタートさせて、私も今は充実している。けれど、ふと、一生ここでこの仕事をしていくのだろうかとか、なにか未来に対する漠然とした不安を感じることがある。
「まあ、ライラには占いっていう武器があるから、私とはまた違うかもしれないけれど……」
頷いていいのかどうか……
確かに、一つでも自信のあるものを持っていれば、心持ちは違うと思う。私はもしここを出たとしても、占いを仕事にして生きていけると思う。だから、一言で〝漠然とした不安〟といっても、ミランダの抱くそれとはまた違うのかもしれない。


