瞳の色が変わって印象が変わったけれど、2人が追われているとしたら、これだけでは心許ない。なにより、ヨエルは元のまま、なにも変えていないのだから。追われているのは、おそらく王女であるマリアーナの可能性が高いものの、彼が見つかれば必然的にマリアーナに繋がってしまう。
「そもそも、2人が追われている前提だが、その目的はなんだ?」
客のいなくなった夜の食堂には、示し合わせたかのように、私とマリアーナとヨエル、そらからルーカスとアルフレッド、ドリーが顔を突き合わせていた。
誰にともなく放たれたアルフレッドの問いに、全員が首を捻る。
「ヨエル、思い当たることはあるか?」
当事者の方がより想像がつくかもしれない。
アルフレッドとヨエルは、年齢こそヨエルの方が幾分上だけれど、上司と部下の関係だ。職を斡旋して、自分が不在の間のマリアーナを見守ってくれているアルフレッドに対して、ヨエルは信頼しているようだ。
「まあ、目的はマリアーナだろうな。冷遇されてきたとはいえ、立場はシュトラス王国の王女。幽閉されたような状態で、お披露目されたことがなかったとはいえ、立場は正式に認められている」
「これまで、ないもの同然に扱ってきた王女を、急に探し始める理由か……」
ルーカスの呟きに、再び各々が考えを巡らす。
「カレルヴォは後妻を迎えていないの?」
ふと疑問に思って、ヨエルに尋ねてみた。不貞は許されなくても、王妃が亡くなっているのなら、後妻を迎えることも可能だろう。
「俺が国内にいるうちは、そんな話はなかった」
「だとすると、国王のお子としては、ユリウス王子とマリアーナの2人だけってわけね。ユリウスになにも問題がなければ、王位継承はとりあえず大丈夫だとして……」
「王弟殿下にも、2人の男児が生まれている。だから、王位継承に不安はない」
「そう。それじゃあ、王女と呼ばれる立場の人は?他にもいるかしら?」
「……いや。王家はどちらかといえば男系で、俺の知る限りマリアーナ以外は既に嫁いだ人間しかいなかったはずだ」
このやりとりで、なんとなく察せられることが見えてくる。特に、アルフレッドなんかは。
たった一人の番を追い求める獣人のルーカスは、ピンときてないようだけど。きっと、私達が思い至ったことは、ルーカスには理解し難いことかもしれない。
「そもそも、2人が追われている前提だが、その目的はなんだ?」
客のいなくなった夜の食堂には、示し合わせたかのように、私とマリアーナとヨエル、そらからルーカスとアルフレッド、ドリーが顔を突き合わせていた。
誰にともなく放たれたアルフレッドの問いに、全員が首を捻る。
「ヨエル、思い当たることはあるか?」
当事者の方がより想像がつくかもしれない。
アルフレッドとヨエルは、年齢こそヨエルの方が幾分上だけれど、上司と部下の関係だ。職を斡旋して、自分が不在の間のマリアーナを見守ってくれているアルフレッドに対して、ヨエルは信頼しているようだ。
「まあ、目的はマリアーナだろうな。冷遇されてきたとはいえ、立場はシュトラス王国の王女。幽閉されたような状態で、お披露目されたことがなかったとはいえ、立場は正式に認められている」
「これまで、ないもの同然に扱ってきた王女を、急に探し始める理由か……」
ルーカスの呟きに、再び各々が考えを巡らす。
「カレルヴォは後妻を迎えていないの?」
ふと疑問に思って、ヨエルに尋ねてみた。不貞は許されなくても、王妃が亡くなっているのなら、後妻を迎えることも可能だろう。
「俺が国内にいるうちは、そんな話はなかった」
「だとすると、国王のお子としては、ユリウス王子とマリアーナの2人だけってわけね。ユリウスになにも問題がなければ、王位継承はとりあえず大丈夫だとして……」
「王弟殿下にも、2人の男児が生まれている。だから、王位継承に不安はない」
「そう。それじゃあ、王女と呼ばれる立場の人は?他にもいるかしら?」
「……いや。王家はどちらかといえば男系で、俺の知る限りマリアーナ以外は既に嫁いだ人間しかいなかったはずだ」
このやりとりで、なんとなく察せられることが見えてくる。特に、アルフレッドなんかは。
たった一人の番を追い求める獣人のルーカスは、ピンときてないようだけど。きっと、私達が思い至ったことは、ルーカスには理解し難いことかもしれない。


