占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「えっと……」

ちらりとヨエルを見るマリアーナ。
今の彼女の色は、過去に魔女に変えられたものだ。印象を変えたいのなら、全く違う色にするべきだろう。

「グリーンはどうだろうか?」

アルフレッドが提案するとは思っていなかった。視線が彼に集中する。ドリーはその様子を、相変わらずおもしろそうに見ている。

「グリーン……いいかもしれない」

しばらく思案したヨエルは、納得したように頷いた。

「うん。私もいいと思う。いいですか?」

可愛らしく首を傾げるマリアーナに、ドリーも珍しく顔を綻ばせた。

「ああ、いいと思う」

「ヨエル、瞳だけでいい?」

「そうだなあ……髪の方は……」

「髪はそのままでもかまわんだろう。仕事中は頭巾で隠れとるからな。それとも、希望があれば変えるが……シルバーか、それともゴールドがいいか?」

ニヤリとするドリーに、慌てて首を振るマリアーナ。どうかしたのだろうか?その横で、ヨエルが顔を顰めている。

「ううん。ドリーの言う通り、髪はこのままでいいわ」


こうして、ドリーによってマリアーナの瞳は深いグリーンに変えられた。不思議なもので、瞳の色が変わっただけで、その印象はずいぶんと変わった。本人は慣れないようで、何度も鏡を覗き込んでは前髪をいじっている。

「マリアーナ、せっかく違う印象を与えたいのに、髪で隠してしまったら意味がないぞ」

クククと笑いながら、若干揶揄うように指摘するアルフレッド。

「で、でも、なんだか落ち着かなくて……」

「大丈夫だ。よく似合っている。堂々としているといい」

アルフレッドにそう言われて、マリアーナはやっと気にしなくなったようだ。