「この者達が本当にシュトラスの者で、2人を追っているのだとしたら、他国に侵入しておきながら、特になにかを盗もうとしたり、要人に近付いたり一切しないという、理解し難い行動も納得だな。あくまで、2人を追うのみ。ただ、情報によると、追っ手はライラが見た2人だけではないようだ。2人単位で複数入り込んでいるという」
ルーカスの説明に、考えを巡らす。
追っ手が複数いるということは、2人を捕まえる理由がそれなりに重要なことなのかもしれない。大陸を越えてまで入ってくる、複数の追っ手。その意味するところは……
「そろそろ、ここを出ていくべきだな」
ボソリと呟くヨエルに、マリアーナが悲しそうな顔を向けた。
「ヨエル……」
「マリアーナ、仕方がない。これまでも、そうしてきただろう?」
マリアーナにとって、ここは居心地の良い場所になっていたのだろう。決して口には出さないものの、その瞳が〝嫌だ〟と語っている。私としても、彼らがこのまま出ていくのは受け入れたくない。
「待て、ヨエル」
引き留めたのは、アルフレッドだった。
「今ここで、これまでのように姿を消しても、なんの解決にもならない」
彼の言うことはもっともだ。シュトラスの追っ手は、いずれここまでやってくる。だとしたら、2人の痕跡を確実に掴めているということだ。いくらここを出ても、あったが諦めるとは思えない。それどころか、味方のいない地で逃げ切るのは難しいはず。
そんなことを考えていたけれど、アルフレッドの言いたいことは少し違ったようだ。
「マリアーナは、ここへ来てずいぶん変わった。ヨエルが仕事で不在の間、身を潜めるようにして過ごしてきたこれまでとは違って、ここでライラ達と共に生き生きと過ごしていた。それはヨエルもわかっているだろ?」
「ああ」
「それを投げ出して他所へ行くのは、あまりにも惜しい。もちろん、追っ手がいる以上、今ここを出ていくことの方が危険だというのもあるが。身を隠すのは、なにも逃げるだけが方法じゃない」
ルーカスの説明に、考えを巡らす。
追っ手が複数いるということは、2人を捕まえる理由がそれなりに重要なことなのかもしれない。大陸を越えてまで入ってくる、複数の追っ手。その意味するところは……
「そろそろ、ここを出ていくべきだな」
ボソリと呟くヨエルに、マリアーナが悲しそうな顔を向けた。
「ヨエル……」
「マリアーナ、仕方がない。これまでも、そうしてきただろう?」
マリアーナにとって、ここは居心地の良い場所になっていたのだろう。決して口には出さないものの、その瞳が〝嫌だ〟と語っている。私としても、彼らがこのまま出ていくのは受け入れたくない。
「待て、ヨエル」
引き留めたのは、アルフレッドだった。
「今ここで、これまでのように姿を消しても、なんの解決にもならない」
彼の言うことはもっともだ。シュトラスの追っ手は、いずれここまでやってくる。だとしたら、2人の痕跡を確実に掴めているということだ。いくらここを出ても、あったが諦めるとは思えない。それどころか、味方のいない地で逃げ切るのは難しいはず。
そんなことを考えていたけれど、アルフレッドの言いたいことは少し違ったようだ。
「マリアーナは、ここへ来てずいぶん変わった。ヨエルが仕事で不在の間、身を潜めるようにして過ごしてきたこれまでとは違って、ここでライラ達と共に生き生きと過ごしていた。それはヨエルもわかっているだろ?」
「ああ」
「それを投げ出して他所へ行くのは、あまりにも惜しい。もちろん、追っ手がいる以上、今ここを出ていくことの方が危険だというのもあるが。身を隠すのは、なにも逃げるだけが方法じゃない」


