占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「マリアーナ、ただいま」

「おかえり、ヨエル」

ヨエルの出迎えはマリアーナに任せて、食事の用意に席を立つ。ルーカスはそれが気に食わないようで、フンと鼻を鳴らすけど、これは私の仕事なんだから仕方がない。

今日のヨエルは、アルフレッドがルーカスの情報を元に対策会議をしていたため、いつもより帰りが遅かった。

「ライラ、私の食事もお願いできるか」

アルフレッドも一緒に帰ってきたようで、側近達の分も合わせて給仕する。不満げなルーカスが、ジトっと見てくるけれど、やっぱり無視だ。

厨房のグノーに声をかけると、それほど待たずして食事の用意が整った。マリアーナの手も借りながら食事を出すと、拗ねているルーカスにも、特別に紅茶とデザートを出してあげた。途端に、満面の笑みになるルーカス。

「ライラが……ライラが俺を、俺だけを、特別扱いしてくれた!!」

ああ……変な気は回すものじゃないわ。この王子、だんだん残念なことになっていく気がする。




「ライラ、占いで見たという人物のことを、詳しく教えてくないか」

夕飯を終えると、誰からともなく話し合いのような雰囲気になっていた。ヨエルから聞かれるとは思っておらず、少し驚いた。

「わしも、聞こうかね」

珍しく、ドリーまで加わった。

「わかったわ。もう一度、見てみるわね」

テーブルの上に水晶を用意すると、トールキャッスルに意識を集中した。