「言われてみれば……そうだな。マリアーナは一見庶民のようだが、どこか違う」
営業を終えて、遅めの夕飯を食べていた時、今はじめて気が付いたと呟くルーカス。
「俺にはライラしか目が向かないからな」
「はいはい、ありがとう。王子としては、もっと視野を広げるべきだと思うわよ」
彼の扱いは、雑になる一方だ。けれど、ルーカス自身はそれを〝ライラがどんどん俺に慣れてくれる。俺の全てを見てくれるし、彼女の全てを見せてくれる〟と、頓珍漢な方向に変換しているから困ったものだ。
それを聞いたアルフレッドなんて、〝す、全てを、見せた、だと?おまえ、未婚の女性相手に、なにやってんだ!!〟と勘違いして、一騒動起きたことも。
「なんの話ですか?」
日が経つにつれて、明るく年相応な雰囲気になったマリアーナは、私達に話しかける際もフランクな雰囲気になってきた。もちろん、ヨエルのいない時でも。彼女が私達に心を開いてくれることが、とにかく嬉しい。
「マリアーナって、食事をする様子がすごく綺麗だなあって思って。やっぱり幼少期に躾けられたの?」
「はい。母や乳母が、マナーだけは厳しく教えてくれて。あっ、ヨエルもです。普段から、口酸っぱく言われるんです」
そうか。王妃の実弟ということは、ヨエルもそれなりの身分のはず。いろいろと事情はあっただろうけど、ご両親はきちっとされた人だったのだろう。
「ライラも、食べ方とか綺麗だなあって思ってました」
「えっと……うん、そうね。私、ここにくる前は、グリージア王国の貴族だったから」
驚いた顔をしたマリアーナだったけれど、それ以上聞き出そうとはしなかった。
〝ああ、来たな〟とルーカスが呟いた直後、ガラガラっと入り口が開く音に顔を上げた。
営業を終えて、遅めの夕飯を食べていた時、今はじめて気が付いたと呟くルーカス。
「俺にはライラしか目が向かないからな」
「はいはい、ありがとう。王子としては、もっと視野を広げるべきだと思うわよ」
彼の扱いは、雑になる一方だ。けれど、ルーカス自身はそれを〝ライラがどんどん俺に慣れてくれる。俺の全てを見てくれるし、彼女の全てを見せてくれる〟と、頓珍漢な方向に変換しているから困ったものだ。
それを聞いたアルフレッドなんて、〝す、全てを、見せた、だと?おまえ、未婚の女性相手に、なにやってんだ!!〟と勘違いして、一騒動起きたことも。
「なんの話ですか?」
日が経つにつれて、明るく年相応な雰囲気になったマリアーナは、私達に話しかける際もフランクな雰囲気になってきた。もちろん、ヨエルのいない時でも。彼女が私達に心を開いてくれることが、とにかく嬉しい。
「マリアーナって、食事をする様子がすごく綺麗だなあって思って。やっぱり幼少期に躾けられたの?」
「はい。母や乳母が、マナーだけは厳しく教えてくれて。あっ、ヨエルもです。普段から、口酸っぱく言われるんです」
そうか。王妃の実弟ということは、ヨエルもそれなりの身分のはず。いろいろと事情はあっただろうけど、ご両親はきちっとされた人だったのだろう。
「ライラも、食べ方とか綺麗だなあって思ってました」
「えっと……うん、そうね。私、ここにくる前は、グリージア王国の貴族だったから」
驚いた顔をしたマリアーナだったけれど、それ以上聞き出そうとはしなかった。
〝ああ、来たな〟とルーカスが呟いた直後、ガラガラっと入り口が開く音に顔を上げた。


