占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「さあ、ミランダ。何を占えばいいのかしら?」

彼女が席に着いたのを見届けて、声をかけた。男性陣2人は、怖いもの見たさというか……興味はあるようで、口は挟まないものの、少し離れた席からこちらを窺っている。いつもは席を一つ二つ開けるか、間に私を挟んで座る2人だけど、今日はなぜか隣り合って座っている。

「私の、未来を知りたいの」

「具体的に言うと?」

「そうねぇ……1年後の未来……」

ミランダにしては珍しく、物言いがはっきりしない。やっぱり、他人の目がない場所の方が良かったかしら?それはアルフレッドも感じたのか、それとなくルーカスの膝を突いているのが視界の端に見える。

「いいえ。時期の問題じゃなかったわ。私……まあ、知っての通り魔力を失ったでしょ?」

「ええ、そうね」

その理由が正当性のあるものだったのなら、同情したかもしれない。けれど、実際は彼女の起こした犯罪によって取り上げられてしまったのだから、同情はできない。彼女の魔力がもどることは、一生ない。
魔力を失ってしまえば、魔女の暮らす国マージュミアルにミランダの居場所はないも同然。誰も明言こそしないものの、永久追放のようなものだろう。
そこにドリーが手を差し伸べ、宿屋に連れてきたのだ。