「ライラ。ちょっと込み入った話になるがいいか?」
「どうしたの、ルーカス」
ある日の昼過ぎ、珍しく真面目な顔をしたルーカスが、一切のふざけもなく話しかけてきた。
「ドリー、ちょっとライラを借りるぞ」
「はいよ」
ドリーの許可をもらうと、ルーカスはジャレットを伴って占い用の部屋へ入った。
「なにかあったの?」
「ちょっと占って欲しいことがあるんだ」
なにか、重大なことなのだろうか?いつもと違うルーカスの様子に、なんだか妙に緊張してしまう。今のルーカスは、まるで国を守る王のような真剣な顔をしている。いや、まるでじゃなくて事実だったわ。
「どんなことを?」
「実は……」
室内にいるのは、私とルーカスとジャレットだけ。ドアは閉まっているし、ジャレットは鍵までかけた。それなのに、念のためとでもいうように、ルーカスは声を潜めている。
予兆は少し前からあったのだという。サンミリガン王国より西の方で、なにやらよからぬ動きがあるらしい。サンミリガンは国土が広く、その多くが自然のままらしい。これはサンミリガン王国が獣人の暮らす国だということも、少なからず関係しているようだ。
グリージア王国と逆の西側は、特に自然が多く、どちらかというと東寄りに城をかまえているため、西側諸国との付き合いはそれなりにあるものの、情報が入りにくなってしまうようだ。その分、サンミリガンは南側の国々や、マージュミアル以外の北側の国と密に連携しているのが現状だという。
「このあたりの事情は、ライラが番であるから信頼して話した。他へは漏らさないでくれ」
「番って……」
受け入れてもいないことを根拠にして、国の機密事項を漏らすのはやめていただきたい。ただ、いつものように〝番じゃないから!!〟と撥ね付けられるような空気感じゃないんだけど……
「西側にしても、それなりに手は打ってあるんだが……」
どうしても後手に回りやすいと話す理由は、西隣より向こうの国は、大陸外との交流が盛んなためか、考え方が合わなかったり、習慣が違ったりするかららしい。
「どうしたの、ルーカス」
ある日の昼過ぎ、珍しく真面目な顔をしたルーカスが、一切のふざけもなく話しかけてきた。
「ドリー、ちょっとライラを借りるぞ」
「はいよ」
ドリーの許可をもらうと、ルーカスはジャレットを伴って占い用の部屋へ入った。
「なにかあったの?」
「ちょっと占って欲しいことがあるんだ」
なにか、重大なことなのだろうか?いつもと違うルーカスの様子に、なんだか妙に緊張してしまう。今のルーカスは、まるで国を守る王のような真剣な顔をしている。いや、まるでじゃなくて事実だったわ。
「どんなことを?」
「実は……」
室内にいるのは、私とルーカスとジャレットだけ。ドアは閉まっているし、ジャレットは鍵までかけた。それなのに、念のためとでもいうように、ルーカスは声を潜めている。
予兆は少し前からあったのだという。サンミリガン王国より西の方で、なにやらよからぬ動きがあるらしい。サンミリガンは国土が広く、その多くが自然のままらしい。これはサンミリガン王国が獣人の暮らす国だということも、少なからず関係しているようだ。
グリージア王国と逆の西側は、特に自然が多く、どちらかというと東寄りに城をかまえているため、西側諸国との付き合いはそれなりにあるものの、情報が入りにくなってしまうようだ。その分、サンミリガンは南側の国々や、マージュミアル以外の北側の国と密に連携しているのが現状だという。
「このあたりの事情は、ライラが番であるから信頼して話した。他へは漏らさないでくれ」
「番って……」
受け入れてもいないことを根拠にして、国の機密事項を漏らすのはやめていただきたい。ただ、いつものように〝番じゃないから!!〟と撥ね付けられるような空気感じゃないんだけど……
「西側にしても、それなりに手は打ってあるんだが……」
どうしても後手に回りやすいと話す理由は、西隣より向こうの国は、大陸外との交流が盛んなためか、考え方が合わなかったり、習慣が違ったりするかららしい。


