占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「ライラ、占いの依頼を受けてくれるかしら?」

ランチの時間を終えて、自分達の食事も済ませた頃、ふとミランダが尋ねてきた。
今は店も閉めている時間帯で、従業員の完全な休憩時間だというのに、なせがルーカスとアルフレッドも食堂に居座っている。そのことに文句を言うのも疲れたし、ドリーが何も言わないのならいいかと、今では放置することにしている。

「いいわよ。向こうへ行きましょうか」

占い用の別室へ促そうとすると、「いえ」とミランダに遮られてしまった。他人に聞かれてもかまわないということなのだろうか?首を傾げる私に、ミランダは続ける。

「ここでかまわないわ」

途端に席を外そうとするやんごとなき2人を、それより先にさっと制したミランダは、〝食後のお茶でも飲みながら、ゆっくりしてくださいな〟と、有無を言わさない雰囲気で厨房へ向かった。

「アルフレッド、今のうちに退散すべきだろうか?」

「いや。ああ言われたにも関わらず席を立とうものなら、後が怖い」

「そ、それもそうだな」

こう言う時だけは、なぜか一致団結した姿を見せる2人。まあ、隣国の次期国王同士の仲が良いことはいいことだ。



「はい、どうぞ」

もどってきたミランダは、優雅な手付きで紅茶を置いていく。その間に私は、机の上に水晶を取り出した。