占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「そこにきて、まるで俺の色を受け継いだようなマリアーナが生まれた。そによって、カレルヴォの中で疑念だったことが確信に変わった。」

おそらく、カレルヴォもまた長年にわたって苦しめられてきたのだろう。誰も悪いことをしていないし、裏切りなんてなかったのに、誰も幸せになれない。真実を知っているヨエルやエレオノーラの苦しみやジレンマは、相当大きかったのだろう。

「おかしいよな。王宮だって俺の実家同様に、いや、それ以上に、不貞を疑われないように様々な手立てが打たれていたはずなんだ。俺とエレオノーラが接する時だって、殿下をはじめ、第三者の目があった。けれど、カレルヴォは妻を愛するあまり心の傷は大きく、あたりまえのことすら信じきれなかったんだ」

アルフレッドが、居心地悪そうに身じろぎした。ことの違いはともかく、私との婚約破棄もまさしくこういう状況だった。

「カレルヴォは、王妃とマリアーナを共に病気扱いして、療養のためと離れに閉じ込めてしまった。そして、力のある魔女にマリアーナの色を変えさせた。自分の子に相応しい色に。それから、俺を辺境の地へ追いやった。
それでもカレルヴォは、怒りと悲しみに暮れ、妻と娘を自分の元へ呼び寄せることはなかった。
心労もあったのだろう。数年後、エレオノーラが他界した。王妃という後ろ盾を失ったマリアーナはどうなるのか?ユリウス殿下と乳母は結託して、城からマリアーナを逃すことにした。マリアーナが身を寄せたのは、母親の遠縁に当たる屋敷だった。しかし、ここで2人の目論見が外れた。王家に嫁ぎながら、十分な勤めを果たすこともできず、さらにはお荷物を押し付けるようにマリアーナを預けてきたことに腹を立てた主は、彼女を使用人のように扱った。しばらくすると、穀潰しだと乳母を追い出した。まあ、それで乳母がユリウス殿下に状況を知らせるに至り、俺も知るところとなったんだけどな。
俺達が旅に出ることにしたのが、今から3年ほど前だ。時に兄妹として、あるいは親子として演じながら、ここまでやってきた」

「目指すところはあるの?」

思わず尋ねていた。彼らが腰を落ち着かせないのはなぜなんだろう?