「私は、水晶で見た中で、あなたと王妃の仲を一切疑っていないわ。けれど、確かにその色には違和感があるかもって思ってしまう」
「ライラは正直だな。あの時、誰もがそれを疑ったはずだ。まあ、面と向かって言うヤツはいなかったが。カレルヴォにしても、公的には不貞を認めていない。とはいえ、耐えられなかったのだろう。自らエレオノーラを遠ざけ、マリアーナ共々、城の離れに軟禁した。俺に至っては、物理的に近付けぬよう、辺境の地へと追いやった。カレルヴォが俺を問い詰めたり、あからさまな処罰を与えなかったのは、彼の意地なんだろうな。王妃の不貞を認めたくないという」
「じゃあ、実際のところは……聞いてもいいのかしら?」
「ああ。むしろ、隠すことなんてなにもない。俺と王妃エレオノーラは姉弟なんだ」
「姉弟!?それなら、国王だって知ってそうなものじゃないの」
「俺の存在は、公にされてないんだ」
そっと目を伏せたヨエルの手に、マリアーナが自分の手を重ねる。ここまで、この2人はこうやって励まし合ってきたのだろう。
「俺の……エレオノーラの父親は、有力貴族のうちの一人だった。この辺りではどうか知らないが、シュトラスではたとえ有力貴族であっても、王族であっても不貞は許されない。もちろん、愛人なんて存在は一切認められない。よほどの理由がない限り、国王が側室を持つこともないほどだ」
この口ぶりからすると、そのあたりシュトラウスはずいぶん厳しそうだ。
「サンミリガンも、決まりこそないが似たようなものだぞ。そもそも、獣人には番以外の異性なんて相手にすることができないからな」
〝だから安心しろよ〟と、ルーカスの視線が言ってる気がしたのは、私の気のせいにしておく。ただほんの少しだけ、その深い愛情が……番の堅い絆が羨ましいと思ってしまった。ほんの少しだけ……
「ライラは正直だな。あの時、誰もがそれを疑ったはずだ。まあ、面と向かって言うヤツはいなかったが。カレルヴォにしても、公的には不貞を認めていない。とはいえ、耐えられなかったのだろう。自らエレオノーラを遠ざけ、マリアーナ共々、城の離れに軟禁した。俺に至っては、物理的に近付けぬよう、辺境の地へと追いやった。カレルヴォが俺を問い詰めたり、あからさまな処罰を与えなかったのは、彼の意地なんだろうな。王妃の不貞を認めたくないという」
「じゃあ、実際のところは……聞いてもいいのかしら?」
「ああ。むしろ、隠すことなんてなにもない。俺と王妃エレオノーラは姉弟なんだ」
「姉弟!?それなら、国王だって知ってそうなものじゃないの」
「俺の存在は、公にされてないんだ」
そっと目を伏せたヨエルの手に、マリアーナが自分の手を重ねる。ここまで、この2人はこうやって励まし合ってきたのだろう。
「俺の……エレオノーラの父親は、有力貴族のうちの一人だった。この辺りではどうか知らないが、シュトラスではたとえ有力貴族であっても、王族であっても不貞は許されない。もちろん、愛人なんて存在は一切認められない。よほどの理由がない限り、国王が側室を持つこともないほどだ」
この口ぶりからすると、そのあたりシュトラウスはずいぶん厳しそうだ。
「サンミリガンも、決まりこそないが似たようなものだぞ。そもそも、獣人には番以外の異性なんて相手にすることができないからな」
〝だから安心しろよ〟と、ルーカスの視線が言ってる気がしたのは、私の気のせいにしておく。ただほんの少しだけ、その深い愛情が……番の堅い絆が羨ましいと思ってしまった。ほんの少しだけ……


