占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「そこまで知っているのなら、隠すまでもないな。俺達は、この大陸より西のシュトラス王国の者だ」

「シュトラス王国?」

何か知っているかと、ルーカスとアルフレッドに目を向ける。

「一度も関わった方はないが……その名は聞いたことがある」

「サンミリガンも、関わりのない国だな。確かに、地図で確認したことはある。内陸の国だったはず」

「ああそうだ。大陸自体が栄えていたのと、シュトラスは海に面してないこともあって、大陸外との交流はほとんどない国だ。そして、ライラと言ったな?」

「ええ」

「その水晶が見せたという物語だが、ほぼその通りのことがあった」

やっぱり……私の水晶が見せることは、外れることがない。

「あの、しばらくこの宿に泊まってかまわないし、協力できることがあれば手助けするわ。だから、詳しく聞かせてくれないかしら?」

「なぜ、あなたに?このまま一泊して、俺達は旅を続ける。それだけだ」

「で、でも……もしこの先、あなたの身になにかあったら、マリアーナはどうなるの?今の彼女に、後ろ盾になるものはあるのかしら?」

「それは……」

「私も、いろいろあって……状況は違うけれど、マリアーナの立場はよくわかるの」

アルフレッドに、悪気はないけどと視線を送ると、若干気まずそうな顔をらしながらも頷いてくれた。

「私、いろいろあって、単身で国を飛び出してしまったの。水晶に導かれて、このどの国にも属さない緩衝地帯に来て、ここへたどり着いた。当然、後ろ盾なんてなにもなかったわ。あったのは、この水晶ぐらい。その日に泊まる場所すら決めてなかった。でも、ここでドリーに拾われて、人間や獣人のたくさんの仲間ができて、こうして自分の足で立っていられるようになった。もう一人でも大丈夫っていう自信も持てたわ」

「ライラを一人にはしない。俺がいる」

すかさず口を挟むルーカス。その一言がなんだか嬉しくて、〝ありがとう〟と笑みを向けた。