占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「えっと……一応、明日の天気を占ってみせるわ」

天気ぐらいなら、簡単だ。少し目を凝らすと、明日の森が見えてくる。

「ルーカス、明日の昼間は雨よ」

「本当か?じゃあライラ、ついに……」

興奮するルーカスは無視して、説明を続ける。

「こうして占うの。それが極たまに、水晶が勝手に映像を見せてくることがあるの。2週間ほど前だったかしら?久しぶりに水晶が映像を見せてきたわ」

ルーカスもアルフレッドも、口を挟まずにいてくれる。あの日、朝早くに水晶が見せてきた物語を語ると、ヨエルとマリアーナは次第に眉間の皺を深くしていった。

「不貞を疑われた王妃の子マリアーナと、王子の元護衛でマリアーナを連れ出したヨエル。水晶が見せた姿は、あなた達2人だった」

言葉をなくす2人を、じっと見つめた。こんな突拍子もない話なんて、無条件に信じられるものじゃない。
けれど私が語ったことは、この2人が経験してきたほぼその通りの内容なのだろう。ヨエルの訝しげな表情から、それが伝わってくるようだ。

「ルーカスとアルフレッドにこの話をして、どこの国のことなのか探ってもらったの。けれど、この大陸の中に該当する国は見つけられなかった。
一つだけ気になったことは、マリアーナの瞳の色。生まれたすぐは、確かに紫がかっていたはずだわ。それなのに、その後はブラウンになっていた。この大陸で唯一魔女の暮らす国、マージュミアルの魔女達の中に、マリアーナの瞳の色を変えた者はいなかった。とすると……あなた達は、海を渡ってきたのですか?」

不安そうに瞳を揺らすマリアーナの手をギュッと握ったヨエルは、逡巡した後、重い口を開いた。