「獣人であるルーカスなら、優れた嗅覚で毒の有無も嗅ぎ分けられるから、食事もここで大丈夫なんです。まあ、うちが変なものを出すわけないですが。あれ?ルーカス、ジャレットは?」
どうせなら、家臣であるジャレットもいた方がいいと尋ねてみた。
「今日は俺だけ泊まる。ジャレットは報告やら調整やらで、城に行ってる」
「そう。アルフレッドの護衛は?」
「ジャレットと同じだ。城にもどっている。この森の宿には、ドリーがいる。それがなにより安全だと、グリージアは知っている」
ヨエルの疑念を払うように、わざと声に出してわかりきったことを尋ねたことが、2人にも伝わったのだろう。こちらが望んだ返答を、すらすらと返してくれた。
「ドリーというのは?」
眉を顰めつつ、ヨエルが説明を求めてくる。
「ドリー」
カウンターに向かって声をかけると、〝なんだい〟と返ってくる。ドリーはあくまでこの席に混ざる気はないようで、カウンターでなにやら作業をしていた。
「ドリーは、この宿屋の女将なの」
食事を促しながら、居合わせた面々の説明をしていく。本題は後にするとしても、2人にはもう少し落ち着いてもらいたい。
ヨエルはルーカスが食べるのを見届けると、少しだけ警戒しながら肉を口に放り込んだ。それから、マリアーナと視線を合わせて、まるで〝大丈夫だ〟とでもいうように一つ頷く。そこではじめて、マリアーナも食事を口にしてくれた。
「ドリー、詳しく話しても?」
「かまわんよ」
それじゃあ、遠慮なく。
「ドリーは、マージュミアルの王女だったの。すごく大きな力を待っていて。まあいろいろあったようで、今ではこの、どこの国にも属さない緩衝地帯で、宿屋の女将をしてるのよ」
それから、ちらりとやんごとなき2人を見る。
どうせなら、家臣であるジャレットもいた方がいいと尋ねてみた。
「今日は俺だけ泊まる。ジャレットは報告やら調整やらで、城に行ってる」
「そう。アルフレッドの護衛は?」
「ジャレットと同じだ。城にもどっている。この森の宿には、ドリーがいる。それがなにより安全だと、グリージアは知っている」
ヨエルの疑念を払うように、わざと声に出してわかりきったことを尋ねたことが、2人にも伝わったのだろう。こちらが望んだ返答を、すらすらと返してくれた。
「ドリーというのは?」
眉を顰めつつ、ヨエルが説明を求めてくる。
「ドリー」
カウンターに向かって声をかけると、〝なんだい〟と返ってくる。ドリーはあくまでこの席に混ざる気はないようで、カウンターでなにやら作業をしていた。
「ドリーは、この宿屋の女将なの」
食事を促しながら、居合わせた面々の説明をしていく。本題は後にするとしても、2人にはもう少し落ち着いてもらいたい。
ヨエルはルーカスが食べるのを見届けると、少しだけ警戒しながら肉を口に放り込んだ。それから、マリアーナと視線を合わせて、まるで〝大丈夫だ〟とでもいうように一つ頷く。そこではじめて、マリアーナも食事を口にしてくれた。
「ドリー、詳しく話しても?」
「かまわんよ」
それじゃあ、遠慮なく。
「ドリーは、マージュミアルの王女だったの。すごく大きな力を待っていて。まあいろいろあったようで、今ではこの、どこの国にも属さない緩衝地帯で、宿屋の女将をしてるのよ」
それから、ちらりとやんごとなき2人を見る。


