「ライラ!!今日も可愛い。愛してる」

昼の営業を終えた頃、ルーカスがやってきた。ストレートな言葉と共に遠慮なく、ついでにことわりもなく抱きつくと、私の首元に頭を擦り付けてくる。私が押し返しても、ピクリとも動かないし、家臣のジャレットはむしろウエルカムで、温かい視線を向けるのみ。引き剥がしてはくれない。毎度のこととなると私としても面倒で、したいようにさせている。

「はあ、充電完了」

彼は、私から何か吸い取っているのだろうか?通りで疲れるはずだわ。

「お茶をいれるから、座ってて」

片付けを終えて、彼の報告を聞くことにした。

「結論として、手掛かりはなかった」

それほどガッカリはしなかった。おそらくそうだろうと思っていたから。やはり、情報がなさすぎる。

「というより、サンミリガンと交流のある国の中に、国王と王太子がブラウン系の髪と瞳を持っている国がない、というべきだな」

「というと?」

「基本的に、サンミリガンと交流があるのは、この大陸内の国のみ。海を越えた交流は、ほぼない」

この大陸自体が、かなり広大なことは地図で知っている。ルーカスの言ったことは、おかしなことじゃないのだろう。そもそも、海に面した国まで行くのだって、かなりの距離があるのだら。

「グリージアも、おそらく似たようなものだろう。サンミリガンとグリージアの情報を合わせれば、大陸内の国はほぼ網羅しているはずだ。つまり、ライラが見たというマリアーナ達の国は、この大陸の外の国だと考えられる。まあ、これはあくまで〝色〟だけで割り出した結果だが。ちなみに、マリアーナという名の王女も、今のところ確認されていない」

「うーん……不確かな要素が多すぎるのよね」