アルフレッドになんと返していいのかわからず、口を閉ざした。

「ヴィンセントが訪ねてきたことをきっかけに、セシリアのことをきちんと調べ直した。すぐにわかったよ。悪意を持ってでっち上げられたことだと。しかし、証拠が掴めなかった。首謀者は、ヴァネッサ・カニンガムという人物だ」

そうでしょうね。彼女には、いつも目の敵にされてきたから。

「侯爵家ということもあって、権力も金も使って証拠が残らないようしていた。どうしたものかと困っていた時、兄であるレナード・カニンガムによる、獣人の誘拐事件が起こった」

私の占いがきっかけで発覚した事件だ。この事件の主犯は、レナードとミランダ。

「レナードの事件をきっかけに、父であるクライヴ・カニンガムも別件で数々の悪事を働いていたことが明るみに出た。結果、カニンガム家は爵位剥奪。それをきっかけに、恐れる者がいなくなったと、他の貴族令嬢や侍女達が、ヴァネッサのしてきたことを話すようになった。
やっと……やっとだ。セシリアが無実であったことを証明できた」

私の、無実の証明……
そんなこと、もう諦めていた。父が田舎の叔母の元へ行くこともわかっていたし、ローズベリー家がなくなってもいいと思っていた。
けれど、改めて無実を認められたと知ると、心の底から安堵の気持ちが込み上げてきた。

俯く私にそっと近付いたアルフレッドは、持ち上げた左手をしばらく宙に彷徨わせた。やがてパタリと下ろした。代わりに、ハンカチを取り出すと、私に差し出してくれた。

「拭くといい。抱きしめて慰める資格は、私にはないから」

見られたくなかったけれど、私の瞳が潤んでいたことは、気付かれてしまった。声を押し殺したまま、手渡されたハンカチでそっと目元を抑えた。