「どちらも、魔力を使えば変えられる。魔女なら、できるだろうよ」

なるほど。魔女の力を借りれば、そんなことも可能なのか。

「それならば、マリアーナの瞳の色は魔女に変えられた可能性もあるんだな。それから、王子の護衛をしていたヨエルという騎士。彼は、紫系の瞳だ。王女の誕生後、その任務を解かれた。瞳の色が王女と同じことから、王妃との不貞を疑われた、と」

アルフレッドの言葉に、私も思いついたことを続ける。

「マリアーナと王妃は、離れに追いやられてきたけれど、誕生するまではたくさんの人に見守られていたわけだし、王子も妹を可愛がっていた様子からすると、不貞を疑われたとはいえ、国として王女の存在を認められていると思うわ。その後、病死扱いとかされてるかもしれないけれど」

「まあ、そうだろうな。王子の方も、ライラの話からすると、母親と護衛の不貞など、疑ってなさそうだ……不貞があったのかなかったのか、それがわからないなんて、人間ってかわいそうなんだな」

獣人のルーカスからしたら、そういう感想を抱いても仕方がないのかな。

「それでも、1人のパートナーに縛り付けられないっていう、逃げ道があるだけマシなのよ」

それを受け入れられるかどうかは、別の話だけど。たとえば、私の父のように、妻を亡くしても後妻を迎えない一途な人もいる。かと思えば、一部の貴族には、何人とも付き合う奔放な人もいる。
あるいは、一度将来を誓った相手と破綻した後、また愛しく思う人を見つけられることもある。他に助けを求められるところは、人の良いところでもあると思う。


「話はもどすが……」

そうか。アルフレッドには、ちょっと耳が痛い話だったのかも。そんな意図は、私にはなかったことぐらい、彼ならわかってくれているはずだと確信してるけど。

「その国から、王女であるマリアーナと騎士のヨエルが姿を消している。そういう国に心当たりがないか、一度城へもどって調べてみる」

「そうだな。俺の方も調べてみよう」

情報を共有すると、2人は早速行動を起こしてくれた。