占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「ライラの横は、番である俺の席だ」

とりあえず食事をと触ろうとしたら、私の横に誰が座るのかで揉め出した。くだらない。

「男はいくつになってもガキだな」

ドリーの一言にピキリと固まった2人は、いそいそと机を動かして円にしてしまった。こうすれば、2人とも私の隣になれるということらしい。くだらない。

「どこの国のことなのか、全くわからないんだけど……」

と切り出して、今朝水晶が見せたことを詳しく話して聞かせた。



「不貞を疑われた王妃と、その相手とされた護衛騎士とは、一体どういう関係なんだろうか……」

アルフレッドの疑問は、私も気になるところだ。

「それが、なんて言ったのかよくわからなかったの。ただ、あくまでこれは私の受けた印象だけれど、2人の間に罪を問われるようなことはなにもなかったと思うの。確かに、親しそうではあったけれど……」

「でも、その騎士と産まれた王女の瞳の色は同じだったんだろ?」

ルーカスが僅かな疑いを滲ませた気持ちもわかる。

「そうなの。王も王妃も王子も、みんなブラウン系の色合いの中、マリアーナだけが異色だった。それも、護衛のヨエルと同じ色で……」

「まあ、そこになにがあったかは、本人達にしかわからんのだろうが……」

顎に手を当てたアルフレッドは、なにやら思案している。
なにかを考えるには、あまりにも具体的な情報がなさすぎる。そもそも、現実の話だという保証もない。

「ヨエルのマリアーナに対する気持ちが掴み切れないな。実は親子としての情なのか、それこそ、血の繋がりはないけれど産まれた時から知っているという情なのか。それとも、王妃と王女に対する扱いを、人として許せないという正義感か」

ルーカスも、思いつくままに言葉を並べて思案している。
ただ、どうするべきなのかという答えを求めていないだけに、なにを考えるべきなのかもはっきりしないけれど。それが、なんとなくもどかしい。