「……っ……」

「え?」

小さくうめくような声で、なにかを呟いたルーカス。彼の反応をジリジリしながら待つ。

「やっとだ……」

「へ?」

「ライラ!!」

突然ガバリと抱きつかれて、思わずよろめいてしまったところを、ルーカスのたくましい腕が、私を守るように抱え込んでくる。

「愛してる」

放たれた情熱的な言葉と共に重ねられた唇。

えっと……私、今、なにをされてるのか……


「おめでとー!!」

途端に歓声を上げる客達と、ポカンとする私。

「やっとかあ」
「これでサンミリガンも安泰だ」
「頑張ったなあ、王子」

それはもう、好き放題に騒ぎ出した。
唇を離したルーカスは、再び私を抱き込むと、片手を突き上げてお腹の底から雄叫びを上げた。

「ドリー、お祝いだ!!」
「この素晴らしいタイミングに居合わせたのも、なにかの縁だろう。今夜は飲み明かすぞ」

なんて言ったのは誰だったのか?客も従業員もなく、みんな一緒になって宴の準備を進めていく。


「ルーカス王子、おめでとう!!」

気付けばたくさんのお酒が用意されていて、ドリーにグノー、ルーカスの家臣のジャレットもいた。さらに、執務室に残っていたアルフレッドの側近まで。


えっと……

これからローラの帰りを待って、サンミリガンなら国王夫妻に挨拶をして、父にも連絡して……なんて、これからの流れを思い浮かべていた私は、やっぱり獣人のことがわかっていなかったようだ。