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「陛下、報告します。第一王女の誕生です」


場面はどこかのお城だろうか。王妃の出産を受けて、王に知らされるところからはじまった。

「なに、そうか!!」

途端に嬉しそうな表情を見せた王様。その横に立つ少年は、先に産まれた王子だろう。

「父上、母上や妹に会いに行きましょう」

「待ちなさい。まだ混乱しているだろう。声がかかるまで、会いに行くことはできないんだよ」

その様子から、この国王一家ぎとても仲が良いということが伺える。



場面は変わって、王女との初対面の場のようだ。

「父上、可愛いですね」

乳母からおくるみに包まれた妹を見せてもらい、満面の笑みを浮かべる王子に対して、父親である国王は、どこか手放しでは喜べないでいるようだ。

「あ、ああ。そうだな」

なんとなく強ばった表情で王女を見つめているのは、どうしてだろうか?乳母に手を添えられながら妹を抱く王子は、まるで宝物を見つめているような顔をしている。そのままそっと父親に妹を託すところまではよかった。娘をその手に抱いた国王は、どこか目を背けるようにして、ほんの数秒のうちに赤ん坊を乳母の元へもどしてしまった。