占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「あんなに焦らなくても……ねえ。アルフレッドの隣に、マリアーナが立つ未来は見えてるんだから」

同意を求めるように、隣に座るルーカスに視線を向けた。

「くっついてもらわないと、俺が困る」

もう、アルフレッドが私に目を向けることなんてないだろうに、ルーカスは未だにアルフレッドへの警戒を緩めない。

「そうとも限らんぞ」

「ドリー？」

背後から声をかけてきたドリーに、〝どういうことか？〟と、ルーカスが不機嫌さを隠さずに聞く。

「波打つブロンドの髪……確かに、マリアーナはその条件を満たしておる。だが、ライラの占いで、顔までも確認できたわけじゃない」

「え？」
「な！？」

言われてみたら……確かにそうかもしれない。
アルフレッドがマリアーナに惹かれて、マリアーナもアルフレッドに惹かれたという事実や、彼女の本当の髪の色に対する衝撃に、私達みんながすっかりそうだと思い込んでいた。
ドリーは意味ありげにニヤリと笑うと、それ以上はなにも言わないまま、自室に下がっていった。魔女はやっぱり意地悪だ。

「ま、まさかね……完全に、アルフレッドの相手はマリアーナだと思ってたけど……」

「そうじゃなきゃ困る」

そうねぇ……アルフレッドには、早く幸せになってもらいたい。それに、グリージア王国としても、一刻も早く王太子の婚約者が欲しいはず。もちろん、マリアーナにも辛い思いをしてきた分、幸せを掴んで欲しいし。