占いお宿II 新たな契りを結ぶ時

「それで?ユリウスはどうしてここへ?アルフレッドを読んだ方がいいかしら?」

確か、アルフレッドは今夜、公務があるからってグリージアの王都にいるはず。

「いや……ああ……」

うーん。これは、よくない話なのかしら?なかなか話を切り出さないユリウスを、口を挟まず辛抱強く待った。

「……陛下が……渋るんだ」

「渋るって、なにを?」

「マリアーナが、グリージアに嫁ぐことを」

あちゃあ……これはアルフレッドには残念なことになるのかしら?

「それは困る」

「ルーカスは黙ってて」

シュンとする姿も可愛げがあるとも言えなくともない。けれど、彼が口を挟むと遠回りになりがちだ。

「王女としての地位は認められて、公にされたのよね?」

確か先日、アルフレッドが嬉しそうに話していた。

「ああ。だが……マリアーナの存在が表に出た途端、次々と縁談が持ち上がった」

「えっと……」

確かに、マリアーナは見た目が可愛い。病弱でなんて言い訳も、あの元気な姿を見れば吹き飛んだはず。そしてなにより、王女という地位がある。

「まあ、そうなるのも、わからなくもないわよね」

「……ああ。だが、全て断っているし、アルフレッドのことも、陛下にちゃんと話してあるんだ」

それでじゃあ、問題は一体どこにあるというのか?

「アルフレッドでは、納得いかないと?」

「いや。陛下は……父上は、ヨエルと私の話から、やっとマリアーナが実子であることを認めた。まあ、本当はもうずっと前からわかっていたのだろうけれど。やっと、現実と向き合えたんだ」

本当なら、マリアーナは父親に対してもっと怒ってもいいところなのだろうに、彼女は父親の謝罪をすんなり受け入れたのだという。

「父上は、これまでの時間を取りもどそうと躍起になっている。マリアーナを常に近くに置き、様々なものを買い与えた。マリアーナの中に、母上の面影を見つけるたびに喜び、また贈り物をする。さすがに、私とヨエルが止めたが……」

ああ……なんか、話が見えてきた気がする。